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P.79 「銀河釉やきもの体験」

  • 執筆者の写真: 作者の息子
    作者の息子
  • 1 時間前
  • 読了時間: 4分

9月のシルバーウィーク


春のゴールデンウィークの有田陶器市と並び、この季節も私たちにとっては大切な期間。

窯を開放し、今は無き「銀河釉やきもの体験」をしていたから。

母が毎年作っていた皆さんの作品集動画

一年に一度、工場を開いて玉峰窯で思い思いに自由に作っていただく。そして、それにご希望の色の銀河釉を掛けて、焼いてお届けするという3日限定のイベント。


(もちろん、うまく焼きあがればという前提だが..)

当時の様子
当時の様子

始まりは、同じ町の窯元が協力して、町おこしの一つとして始まった「山内まるごと体験」。数年で終わってしまったこのイベントだが、翌年からは私たち独自で開催することにした。


庭にテントを立てて、おにぎりを用意して待つ..

最初の年は、やきもの作りを体験してもらうという形ではなく、窯を見学してもらうという形で。


だけど、待てども誰もこない..

ようやく、日が暮れる頃に常連のお客さんがやっと来てくれた。


もっと何か皆さんを惹きつけるものを用意しなければ..!


ということで、初めて窯を開放し、皆さんに「やきもの作り」を体験をしていただくという「銀河釉やきもの体験」に変わった。


そしたら、毎年毎年来てくださる人が増え、ついには予約もオーバーするように..

この時に来てくださっていたお客さんは、私たちにとって今でも大切な古くからの銀河釉応援団。


父が大きな壺を作って真っ二つに切って見せて説明するというデモンストレーションに始まり、お昼にはみんなでBBQしたり、地元の名物・イノシシカレーやシシ汁を振る舞ったり、小学生だった私は休憩時間にお客さんと一緒にバトミントンしたり..

隠れてるけど、ろくろで大きな壺を作ってみせる父
隠れてるけど、ろくろで大きな壺を作ってみせる父

子供ながらに、お客さんがろくろで作った作品を、ろくろから切り取って皿板に移したり、たたら作り用の土を延べて皆さんに渡したり、いつの間にか「小さい先生」と呼ばれたりしてたのは、今では懐かしい思い出。


作っていただく上での条件は、ただ2つ。


  1. 土の塊を作る時は、中に新聞紙などを入れるようにすること(焼く時に爆発してしまうため)

  2. 30cm×40cmの棚板に収まる大きさのものを作ること

この板に乗りさえすれば、何個でもOK
この板に乗りさえすれば、何個でもOK

そんな、「やきもの体験」ですが、実は父にとってはかなり大変だったらしい...


出来上がってくる一個一個形が異なる作品に合わせて、一つ一つ土台を合わせて作って削っていく、それも土が乾いてしまう前に。

一つ一つ釉薬をかける父。バンバン音が聞こえるのは、小学生だった当時の私が裏でやきものを焼くときに敷くハマを叩いていたから。一瞬だけこの動画にも登場

それでも、「自由」に作っていただくこと、それは父にとっても大切なことだった。


あるのは土と自分の手と少しの道具だけ。そこから、色んな形を生み出す、想像力と創造力の数だけの形が生まれてくる。

大人も子供のように土に夢中になる日
大人も子供のように土に夢中になる日

「創造力の冒険」、それは父だけにとってだけでなく、皆さんにも同じように冒険をしてもらいたかったからなんだろう。


確かに生まれてくる作品には、私たちもハッとさせられるものが多かった。

銀河釉のしゃもじとか!?2012年の作品集

交流する機会を作って、銀河釉のコアファンを作ること!


母によれば、それを目標に開催してきたらしいが、本当に「銀河釉やきもの体験」を通して、多くの出会いに恵まれた。


あの時に最初に訪れてくださったお客さんは、今では銀河釉を海外に紹介してくださるお仲間になったり、

毎年参加してくださっていたあるお客さんは、父の存命中の時の番組に加え、去年の陶器市でもNHKの取材の時にインタビューに応じて出演してくださったり


気づけば、お客さん同士も仲良くなって、次の年に来る時には日程を合わせて一緒に来られたりすることも..


父が目指していた「愛と自由のやさしい共同体」は、実はこんなところにちょっとだけ現れていたのかも知れない。

海外の留学生に「やきもの体験」を開催したことも
海外の留学生に「やきもの体験」を開催したことも

父の体調の悪化とともに、2017年を最後に止まってしまった「銀河釉やきもの体験」


今はまだ、工場も散らりっぱなしで、皆さんを受け入れられる体制も、お客さんの作品を確実に焼き上げる技術もないけれど、いつかまた、あの日の賑わいを取り戻したい。


まずは、「ぷち陶器市」として。


来るべきいつかに向けて、再スタート頑張ります!



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